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無題、本当に無題

閲 覧 注 意
(意味不明的な意味で、どうでもいい的な意味で)
時間を潰したいなら、どうぞ
 緊迫した空間が自分の周りを取り囲んでいる。
 少しでも息を抜けば時間が無限に引き延ばされていくようで、ある種のブラックホールみたいなものを彷彿させる。
 そんなどうでもいいことを考えているから、僕は目の前に敷かれているこの問題を解けないのだ。と余計な思考を巡らせる自分に嫌気がさしてくる。
 陳腐なわら半紙に刷られている文字は「世界をつかむための手がかり」として存在している。本当は単行本として出版されているはずの厚い小説の世界の一部分を切り取られて薄い問題として成り立ってしまっている。
 純白な小説にこそ魅力を感じられるのに黒い傍線が引かれてしまい何とも窮屈なそれに見えてしまう。
 問題☆ 彼の気持ちにそぐうものを次のイ~ニの中で答えよ
 作者の思いを込めた登場人物の行動。それを出題者が受験者を落とすために使う手段と変わる。
 ああ、自分は何を考えてしまっているのだろう。時計の針はぐんぐんとあるべき方向に進んでしまう。
 小説の問題文を解くときにはまず自分が登場人物になりきってはならない。出題者の観点と私たちは違う恐れがあるからだ。なら小説の作成者と問題の作成者も違うという事実を忘れてはならない。しかし暗黙の了解として不条理に成り立つ。
 私はシャーペンを動かす。傍線箇所が起きた根拠を。自分の頭の中で映像をイメージしてあくまで「起きた行動」に沿った「感情」を見つけ出す。
 あった。見つかった。曖昧箇所も容赦なく解釈して解答する。
 小説家は自分の書いた小説を問題にしてもらってうれしいのだろうか。そして売り上げが少し増えると渇いた笑みを漏らしてしまうのだろうか。
 結局今回も問題を解き終えてしまった。毎回思うこの作者の思想を解き明かして人を蹴落とすという罪悪感。吐き気がして気持ち悪くて仕方がない。重力が反転して自分は天井に落ちてしまうかのような錯覚に陥り。チャイムは終わりを告げる。
 
 「すごいよなお前。今回も国語の偏差値70越えじゃん」
 模試の結果が渡されてほかの成績はどうでもいいが国語がよかったことを知る。今回の出題者も自分と馬が合ったと合理的な解釈を述べてその場を後にする。これほどうれしいことはないんだけどやっぱりあの罪悪感が胸の中に残って蓄積され、頭の中をはびこっている。
 黄色の銀杏並木を歩いていると感性が研ぎ澄まされていくように感じる。その中でもブロック塀が敷き詰められた道路を見てみる。赤い煉瓦の中に黄色の煉瓦がまばらにある。希少な方を好む私は黄色の煉瓦を転々としながら飛ぶように歩いて行く。端から見れば変な人だと見られているだろう。でもどうしてもやめられないのだろう。
 「うわ」
 見知らぬ人にぶち当たってしまった。私は奇行を恐縮したように謝罪をし頭を下げた。顔を上げると温厚そうな老人がにっこりしながら手をさしのべてくれた。白いひげの丸っこいおじいさんだった。見た目からにしてアメリカ人のような容姿をしていて、カンザス州でトウモロコシを刈るそれのイメージだった。
 「大丈夫ですか」
 なめらかな日本語を話すその人は話を聞いてみるとなんと小説家だった。国語の問題について根本的に疑問を感じていた私はすかさず質問をしてみる。
 「小説を読むことがつらい。それはなんでです」
 「小説自体は好きなんですけど小説の問題を読むことがつらいんです」
 「それは目の前にある『プディングを食べてみなければ味がわからない』という理屈ですか」
 「いや、そういう初めての小説を読むことがつらいのではなくて……」
 「小説を書いた人の感性はその作者のものだ。そういいたいのですね」
 「はい。まあそんなかんじです」
 そのアメリカ人の丁寧な日本語は日本語通の外国人にしか表現できないのかなと思ってしまった。
 「私は日本の文学作品をよく読みます。どの本を読んでもわからない言葉は必ず出てきます。時には辞書にも載ってない造語も書かれているんですね」
 「まあ、自由に言葉を作り出せるのは日本語の特徴なんですかね」
 「文学というものは隠して表現するというものが多いのです。『私はなになにを思う』と大っぴらに言っても本当は読み手の心に届かないものなのです」
 「まあ、そう言われればそうなんですけどね……」
 なんとなく、本当になんとなくだけどもし私が日本人でなかったらこのつらい思いを感じないのだろうか。なんて思ってしまう。
 「私はアメリカ文学と日本文学をよく比較しますが優劣を決める必要はありません。それらしさを尊重するべきだと言ったら言い過ぎですが、私たちがまだ知り得ない言語の魔法を秘めているような気がするのです」
 「言語の、魔法ですか」
 神秘的な解釈をしてみると確かにおもしろいかもしれない。
 「あなたの読むその日本語の問題。それを点数をとるための呪文なんて解釈したらどうでしょう。私はどんなときでも文章は楽しく読みます」
 「なにも深く考える必要なんてないと言うことなんですかね」
 「たぶんあなたなりの解釈が必要だと思います」
 日本人離れしたその人の話し方は、老いた容姿にも関わらず瞳だけは輝いていた。もしかしたら文字を書く人すべての人はその人のような瞳を持ったことがあるのかもしれない。そんな私の瞳は今までよどんでいた。ただわかったことは一つ。輝く瞳はいい意味で伝染する。星屑のように小さく瞬く輝きを私は得たような気がした。
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